コンセンサスを得た事業計画

与えられた計画(達成意識の欠如)

 事業計画は社長からのトップダウンと責任部署からのボトムアップの意見交換の積み重ねで作成すべきであって、どちらか一方のみの意見で作成した場合では、その計画は『お飾り』となり、逆に個々のモチベーションを下げる要因となってしまうことがあります。

 大抵社長が作る計画は目標数値が大きくなり、社員は自分の考えとのギャップの大きさから計画内容を当初から『達成不能目標』のように感じ、達成意識が薄くなることが多々あります。
 よく見る光景として、社長が一方的に作成した実現性の薄い利益計画を基に毎月会議で「売上未達を怒鳴られる」場面です。社員からすれば押し付けられた数値目標であり「実現性」に疑問を感じるも、社長の指示であり仕方なく受入れたが、目標数値が未達の場合に会議で問われるのは結局「気合と根性が足りない」に行き着きます。それが繰り返される内に各部署の担当責任者は、毎月行われる会議が来るのを憂鬱な気分で待ち、会議では「すいません。」「来月から頑張ります」に終始し、何の改善策も対策も生み出せない・決まらないで終わってしまう。

 これが続けば、誰もが「達成しよう」という意識を失ってしまいます。

 事業計画は経営陣と実行現場の意見を汲み取り両者納得した計画としなければ、有効的に活用を行うことは難しくなります。

自主性をベースにした計画

 計画作成時には現場責任者(実行者)も参加し、意見を交わしたうえで現場の自主性をベースにした計画を策定すべきで、この計画作成に参加することが計画内容の理解・承諾に一番手っ取り早い方法であり、また作成時に自分の意見が含まれることで達成への責任(動議づけ効果)も高まります。誰でも一方的に与えられた目標では身が入り難いですが、作成に参加し自分の意見が含まれ納得した内容となれば、自分自身で言った手前達成への責任も自然に沸いてきます。
事業計画

 予算数値の日々の管理・実行は現場責任者ですからその内容を承知し、計画に対し達成意識もつようにしなければ予算達成は困難ものとなってしまいます。

知識や情報を身に付けられる

 アメリカ第34代大統領アイゼンハワーは「戦闘の作戦を練っているときにいつも思うのは、計画そのものは無用だが、計画立案のプロセスは絶対に必要だということだ。」という言葉を残しています。戦闘が作戦通りに行くことはめったにないのと同じように、会社経営においてもめったに計画通りには行くことはありません。しかし計画を立てるには、競合相手・顧客の変化・自社の強み弱み・P/L・社内人材等の情報を把握し分析する必要があり、その情報や知識は計画通りに行かない場合の判断基準として大いに役にたちます。

 戦闘も企業経営も相手の動きを完全に把握することができませんし環境は常に変化しますので、当初の計画を見直すことは頻繁にあります。状況の変化を無視しひとつの計画にこだわり過ぎてしまえば、リスクやチャンスを見過ごし大きな損失を招く結果となってしまいますが、計画作成時に情報や知識を身に付けたことで広い視野での判断ができ、状況の変化を見抜き・臨機応変な対応をすることが可能となります。