組織強化

内部牽制機能

内部牽制機能の充実

 会社が順調に成長し十数人規模になったと言えども、まだ人材が豊富ではなく、特定の人(例:社長)に決裁権限が集中したり、組織上の兼務が増えるケースも多々あります。この様な場合に問題となるのが、内部牽制が機能しているかです。組織図上は機能する体制をしていても、あまり兼務が多くなると内部牽制が機能しなくなってしまいます。

 企業組織においては、この内部牽制機能の充実は重要になります。例えば『起票する担当(経理・支払処理する者)』と『実際の受払いを行なう担当(支払処理を行う者)』が同じ者である場合、チェックが利かず不正が起こりやす状況となってしまいます。とは言え、現実的に数十人規模の会社では人材の確保も難しい場合もありますので、そのような場合は少なくとも、『最終支払決裁者』を別にするなどの業務フローを再構築する必要があります。

権限の分散

 組織を考える上で内部牽制機能と同様に重要なのが決裁者を誰にするかです。上記の様に中小企業では権限が社長に集中することが多く、起業当初は全て社長が決めていたとしても問題は有りませんが、会社がある程度大きくなると決裁事項が幅広く量も多くなり、社長に決裁権限が集中していては的確で迅速な対応が難しくなってきます。

 そこで、決裁事項を棲み分けし決裁権限を分散する必要があります。その棲み分けの基準として定型的意思決定と非定型的意思決定とがあります。

定型的意思決定とは、通常の業務範囲内で反復して発生し、その結果が明確であり、あらかじめ定められた手続きにより行なわれる意思決定(業務的意思決定)です。非定型的意思決定とは、非反復的に発生し過去の経験等に頼ることが出来ず、その結果が不明確であり、あらかじめ定められた手続きに頼ることが出来ない意思決定(戦略的意思決定)です。

トップのすべきこと

 定型的(業務的)意思決定には、定められた手続があり多くの場合期限があるのに対して、非定型的(戦略的)意思決定は、非反復的であり定められた手続も期限も有りませんので、どうしてもルーチンの処理が優先されてしまいます。

 しかしながら長期的・継続的な企業経営上、戦略的意思決定が行なわれなかったり後回しにされることは深刻な問題になります。対策として経営者は日常反復的業務の処理は下位レベルの者に委譲し、自らは戦略的意思決定に専念するか、戦略的意思決定を専門に担当する部署を設け権限を委譲すると同時に、明確ない期限を設定する必要があります。