経理担当者に求められるもの

経理担当者

新しいことに挑戦する向上心

 経理担当者に求められるものは、企業の出来事を論理的にかつ数値に基づいて説明ができる人で、会社の状況を的確に把握し、その原因(業績の悪化等)を数値で究明・分析し、迅速に経営陣へ報告することが求められます。そのためには会計の知識はもちろん、常日頃から環境の変化を感じ取る感性を研ぎすませ、数値と背景との因果関係を結びつけた仮説を立て、将来の兆候(リスク)を感じ取る力を養わなければなりません。

 しかし、これを最初から求めるとなると相当の報酬を用意しなければ人材は来ないですし、中小企業ともなればなおさら難しいでしょう。

 先ずやらなければならないのは、月次を社内で行うことつまり「自計化」を実現することです。では、その際経理担当者に求められる能力は何かと言えば「簿記1,2級」でも「他社での月次処理経験」でも「ITスキル」でもなく、「新しいことに挑戦するという向上心」です。むしろ「他社での月次処理経験」は、邪魔になることが多々あります。経験者は、「以前のやり方はこうじゃなかった」「こんなことやったことがない」「ここまでは私にはできない」などと言い、自分の経験の枠内でしが考えられず、過去の経験が邪魔して新たなことに挑戦することを拒否する方がいるからです。「自分の経験の枠内」でしか考えられない「経験者」よりは、「新しいことに挑戦する向上心」のある「未経験者の方」のほうが、スムーズに進みます

コミュニケーション能力

 経理担当者に求められるものは、前記したように「新しいことに挑戦する向上心」ですが、もう一つ不可欠なものがあります。それは「コミュニケーション能力」です。

 月次決算などの作業は、全社的な共同作業であり日常業務の積み重ねでもありますので、月次決算を迅速にかつ正確におこなうには、月次処理を行なう部署(経理・財務課)内だけでなく、他部署の協力が必要となります。ただし、一方的に協力を求めてもなかなか得られないことも多く、経理・財務課からも他部署の業務内容を積極的に理解することが必要です。他部署の業務内容を知ることは交流を深めるだけでなく、各部署の現金や物の流れを知ることで、部内の報告時期や内容・責任者などがわかり、月次決算フローの調整などにも役に立ちます。

 また日頃から、部門間での信頼関係が築かれているならば、課題点や異常数値が発生したとしも、月次決算の最終値が確定する前に発見・修正・検討することができます。経理・財務課と言えども、ただ数値だけを追っていたのでは、課題点や異常値にも気づかず、適格なアドバイスや短期的な推測もできません。

 経理・財務課が積極的に他部署の業務内容への理解を深め、自社製品の特徴や業界の動向を知ることは、ただ単に効率的に月次決算を行なうためではなく、その専門知識や経験を活かし各部門の活動に対し効果的なアドバイスや助言等を行なうことが可能となります。これは、今日のように変化の激しい状況においては、経理・財務課等にとって重要な役割になりますので、「コミュニケーション能力」は不可欠なのです。