『悪い情報』を掴む

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『悪い情報』を掴む仕組み作り

 情報には『良い情報』と『悪い情報』があります。『良い情報』は黙っていてもトップや上司に伝わってきますが、『悪い情報』は意識して情報を得ようとしなければ上司までにはなかなか伝わってきません。しかし、上司が迅速にそして正確にその内容を掴まなければならないのは『悪い情報』です。『悪い情報』すなわち現場で起きている問題や課題こそ、上司がいち早く掴みその対策を打たなければならないものからです。

 では、なぜ『悪い情報』が上に伝わり難くなってしまうのかと言えば、社員は失敗やクレームを受けた場合にその報告をすると上司に叱責を受けたり、みんなの前で発表すれば格好が悪いと、なるべく表沙汰にしたくないという人間心理がはたらくからで、『悪い情報』はなるべく隠そう、隠そうとするのです。

 『悪い情報』は放置することで、水面下で徐々に大きくなり、あるときトップにその姿が見えた時には大問題となり会社の基盤を揺るがす事態へとまねく可能性があります。過去に会社の不祥事は数限りなくありましたが、そのほとんどが突然降ってわいたような問題ではなく、日々の会社経営で見過ごされて来た問題や課題が蓄積し巨大化したものが顕在化したものです。

 『悪い情報』は何もしなければ社員は隠そうとしますので、トップや上司は情報を得るために社員が話せる環境を作り、真実は何なのかを見抜く力を持つことが必要です。会議で耳障りの良い報告しか出てこない会社は、危険信号だと考えるべきでしょう。

何でも話せる体制が整備

 四国管財株式会社ではクレームは「宝」と考え、そのクレームをいち早く掴み取り即座の対応をルールとしています。それを実現するための基盤として「失敗は成功のもと!」と捉え、社員の失敗に対して怒ったりしない。そのことで、社員は不安感がなくなり、クレームを始め何でも話せる体制が整備されています。

常に探求心を持つ

 セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長は著書で、「情報は人の手を経れば経るほど加工されていく。悪い情報は誰もストレートにはいいにくいため、中間に人を介した場合、まず上がってこないと思った方がいいでしょう」また、「上司が部下からの耳に心地よい報告だけを鵜呑みにし、悪い情報は聞きたくないと思えば、それ以上の真実はつかめません。」「バットニュースはそのままにしておけば埋もれていきます。怖いのは、そこに重大な真実が潜んでいて、あるとき大きな問題となって顕在化することです。そうならないように情報をしっかりとるために必要なのは探求心です。つじつまの合いすぎる報告や耳に心地よい話ばかりでは何かおかしい、どこか納得できないと感じるような情報に対する感覚を研ぎすませる。そして、本当にそうなのか、その情報は誰がいったのか、いつどこから出てきたのか、突き詰めて追及していく。組織の中で真実をつかもうと思ったら、常に探求心を持つことです。」と書かれています。